自分で持っている(自宅で保管している)株券のことをタンス株といっています。
しかし、2009年(平成21年)6月までに公開会社の株式が、一律にペーパーレス化されます。つまり、印刷された株券がなくなり、株券の受け渡しも行われなくなります。
現状は株券を発行するか否かは株式会社の任意となっていますが、証券取引所に上場している株式会社については、2009年6月までに一斉かつ強制的に「株券不発行」に移行することとなりました。だからといって、株式会社という制度がなくなったり、株式を所有している事実がなくなってしまうわけではありません。一斉移行後、株券そのものの価値はなくなりますが、株主の権利(配当を受ける権利など)は、新しい振替制度における振替口座簿に記載されることで、従来と同様に確保されます。
具体的には、従来の保管振替制度では、保管振替機構が名目上の株主で、その株を保有している投資家は実質株主として名簿に記載されています。新しい振替制度では、株主の管理は「株主名簿」上に一元化されます。
その目的は、株券を発行したり、流通の管理や保管をしたりするには、コストがかかりますが、株券という券面がなくなることによって、データ上でのやり取りになるとこのコストが削減できます。すなわち、株式取引の決済を合理化・迅速化することを目指すものです。
投資家にとってのデメリットとしては、自分で株券を持っている(いわゆるタンス株券)ことはできなくなることがあげられます。
では、タンス株券はどうしたらよいのでしょうか?自分で保有しているタンス株券は、発行会社が選定した口座管理機関に開設する「特別口座」で管理されます。この特別口座は流通を目的としたものではありません。そのため、株主の権利は確保されるものの、売却するには証券会社に開設した口座に株式を振り替える必要があります。
また、一斉移行までに株券の名義書換を行っていない場合には、発行会社が株主名簿から株券保有者を特定することができないので、場合によっては株主の権利を完全に喪失してしまう可能性があります。一斉移行までに保管振替制度を利用している株主は、一斉移行後も特段の手続きを行うことなく株主の権利が自動的に確保され、預託している証券会社の口座で自由に売買することができます。